事例2.ビルの空調省エネ取組み事例

  • 1.概要

    都内にある延べ床面積23,000m2の某事務所ビルでは、床面積あたりのエネルギー使用量が2,400MJ/m2と一般的な事務所ビルとしては高いことから、エネルギー使用比率の高い空調設備の更新検討を行っていました。しかしながら本当に必要な熱負荷や空調設備の運転状況などが不明であったため、まず現状設備のチューニング(http://www.eccj.or.jp/b_tuning/04/index.html)をテナントと協力して開始し、その後高効率機器への転換による省エネを進めています。この取り組みを以下に述べます。

     

  • 2.ステップ1: 冷水温度見直しによるチューニング事例

    ビルのチューニング項目には冷暖房同時運転による混合損失防止や熱源運転方法の改善あるいは空調機の起動時刻の見直しなどさまざまな項目があります。ここでは冷水温度見直しによるチューニングを紹介します。

    <チューニング内容>

    空調や熱源設備の能力は、一般的に安全率や将来負荷増を見込んで設計されることが多いためピーク負荷の時期以外は低負荷率・低効率となっていると言われています。本事務所ビルでこの実態を調査したところ7,8月以外は負荷率が平均50%以下であることが判明しました。
    このため冷房を使用している6月から11月の6ヶ月の内、7,8月を除く4ヶ月について空調熱源設備の冷水出口温度を徐々に下げるチューニングを開始しました。チューニングにあたってはテナントの協力をいただき、室内環境を確認しながら実施しました。その結果、冷水出口温度を従来の7℃から10℃に上げることができ、12%の冷凍圧縮機(*)の省エネが図れました。

     

    <チューニング効果>

    • 1)試算の前提条件
    • a) 期間:6月から11月の7,8月を除く4ヶ月(25日×4ヶ月=100日)
    • b) 総時間:10時間/日とする(100日×10時間=1,000時間)
    • c) 出口温度を7℃から10℃へ上げる(圧縮機動力は現状10℃に比較して12%削減されます。図1参照)
    • d) 現在の圧縮機動力の電力消費量:162kWh(1時間当たりで、冷凍機動力180kW)
    • e) 電力量金単価 15円/kWh

     

     図-1冷水出口温度と冷凍機圧縮動力

     

    • 2) 効果試算
    • a) 削減電力量:(d)×(c)×(b)=162kWh×12%×1,000時間=19,440kWh
    • b) 削減金額:削減電力量×電力量単価=19,440kWh×15円/kWh=291,600円
    • c) CO2削減量:削減電力量×0.418t-CO2/千kWh=19,440kWh×0.418 t-CO2/千kWh=8.1t-CO2

     

    3.ステップ2:高効率冷凍機への転換による省エネ

    本事務所ビルに設置している冷凍機(ターボ)は19年前の機器であり、初期性能も経年劣化により低下傾向にあります。上記チューニングにより現状機器でも上で述べたとおり省エネが達成できましたが、このチューニング後の効率を基準に、次のステップとして高効率冷凍機への転換を検討中です。最新の高効率冷凍機の性能として図-2のとおり、平均的には実運転COP(*)が4.7から6.4へ改善され、年間省エネ量としては、36%程度((6.4-4.7)÷4.7)の効果が期待できます。但し、負荷率により実運転COPが変化することもあり、現在季節毎の負荷パターンから詳細の効果計算とエンジニアリングを実施しています。

     

    図-2 ターボ冷凍機のCOP変遷

     

    資料提供:(財)省エネルギーセンター
    (*)用語参照:(財)省エネルギーセンター・省エネ用語集(http://www.eccj.or.jp/qanda/term/)