事例6.変圧器の更新による省エネ事例

  • 1.概要

    某電気機械器具製造工場では、老朽化し損失が多いばかりでなく絶縁劣化が進んでいた変圧器を高効率変圧器に更新しました。これにより電力量を大幅に削減できましたのでその事例を紹介します。

  •  

  • 2.設備概要と問題点

    本工場は特別高圧で受電し、18か所、計48台の高圧変圧器からなる二次変電設備へ高圧配電し、各製造ラインへ必用な電力を供給していました。
    高圧受配電変圧器は2003年にトップランナーの特定機器(※1)に指定され、最近の高圧受配電変圧器は1990年に比べエネルギー消費効率は40%以上改善されていると言われています。今回、老朽化した高圧受配電変圧器を更新するにあたり、高効率型への適用、台数削減(※2)および最適容量を検討することで省エネが図れることに注目しました。

  •  

  • 3.対策

    統合する高圧受配電変圧器(以下、変圧器)の台数および統合後の容量の最適値をつかむため、各変圧器の電圧、電流および電力等を一定期間計測しました。この計測データを分析した結果、表1の例ではいずれも2台から1台(変圧器容量は更新前の2分の1~4分の3)に統合、二次変電設備全体では表2のとおり、変圧器容量は26%削減、台数は15台、31%削減できることがわかりました。さらに低負荷率での運転時間が長いとの測定結果から更新する変圧器は無負荷損失特性の優れているアモルファス変圧器(※2)を選定しました。

     

    表1 統廃合の一例

    場所 更新前(変圧器 容量) 更新後(変圧器 容量) 備考
    第8変台 500kVA 500kVA 統合
    (台数2台→1台、容量→1/2)
    500kVA
    50kVA 75kVA 統合
    (台数2台→1台、容量→3/4)
    第9変台 50kVA
    500kVA 750kVA 統合
    (台数2台→1台、容量→3/4)
    500kVA
    合計容量 2,100kVA 1,325kVA 37%削減

     

    表2 統廃合結果(設備全体)

      更新前 更新後 削減率
    変圧器合計容量 15,405kVA 11,285kVA 26%削減
    変圧器台数 48台 33台 31%削減
  •  

  • 4.効果

    以上の更新により、表3のとおり電力量は68.6%削減できました。特に無負荷損は92% 削減されており、アモルファス変圧器を選択した結果が顕著に現れました。

     

    表3 削減電力量

    損失 更新前
    (MWh/月)
    更新後
    (MWh/月)
    削減率
    無負荷損 45.3 3.6 92%
    負荷損 15.8 15.6 1.3%
    損失合計 61.1 19.2 68.6%

     

    図1 削減電力量

    ※1 トップランナー
    エネルギー多消費機器のうち省エネ法で指定するもの(特定機器)の省エネルギー基準を各々の機器において、基準設定時に商品化されている製品のうち最も省エネ性能が優れている機器の性能以上に設定するというもの。

    ↓資源エネルギー庁・トップランナー解説サイト
    http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/003/

     

    ※2 変圧器の台数削減
    変圧器の損失は無負荷損と負荷損からなり、無負荷損は負荷の大小にかかわらず変圧器に電源を供給している限り発生する損失で、複数の変圧器を統合できる場合には稼働台数減少によりこの損失を削減することができます。

     

    ※3 アモルファス変圧器
    変圧器の鉄心には鉄損(無負荷損失)が少なく、飽和磁束密度・透磁率の大きい、ケイ素鋼板が多く採用されています。鉄心にアモルファス磁性材料を使用したアモルファス変圧器では、ケイ素鋼板を鉄心として使用したものに比べ、鉄損が約3分の1から4分の1に低減されます。

     

    資料提供:(財)省エネルギーセンター